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「何が起こるかわからない。この戦い、アジアカップの日本vsイラクみたいなもんですよ」2.14新宿FACEでKO-D王者上野に挑む男色ディーノにインタビュー!


※本インタビューは2/1実施

1.28後楽園ホール大会、メインのタイトルマッチ(上野勇希vs納谷幸男)は素晴らしい戦いでした。しかしその後ディーノ選手の涙のマイク、同世代の私にはグッときました。どんな感情でしたか?

ディーノ)いや~、もうすごい難しくて(腕を組む)。どう話して行こうかな~。潜在的なものでいくと我々の世代っていわゆるキャリアを重ねている状態じゃないですか?一般企業の中途採用であっても個人事業主であってもそう見られていく中で、人の前に立つという意味でのエンタメに限っていうならば、若いほうが良いというか、業界のことを考えて立ち回ってしまう自分がいるじゃないですか?そんな時に、こっちが勝手に思ってる「今全面に出なきゃいけない若者」から指名を受けたと。そっからちょっとよく分からないけど変なスパークしちゃって。何なんだろうと。

いろんな感情が溢れてきたんですね。

ディーノ)『お前は今こっちを向いてる場合じゃないだろう』とかいろいろな気持ちなんですよ。でも、「でも」なんですよね。自分だけじゃなくて周りを見渡せるようになってきたこの年齢で、『自分は今このパートに行かなきゃいけないな』って考えることを覚えて実践できるようになったこの年齢で、最前線を見た時に自分の中でもその欲はあったんだなって、こう実感するというか。言うて私はプロレスラーで、リングの上に立つ以上は何かやっぱり欲しかったんだろうな、う~ん、何だろうな。別にこれは難しい話、トップになってやろうとかそういう直接的な気持ちでは無いんですよ。ベルト、今のトップから言われた時になんか「勝ちたい!」って思っちゃったんですよね。論理的に説明しづらいんですけど・・・、何だろな~、最前線の欲は当然あったんだろうしスゴイ難しいですよね~(ぐっと考え込む)

納谷選手にインタビューさせてもらった時は、最強の証としてベルトが欲しいとおっしゃってました。

ディーノ)今、暫定的に、まだ答えとしては出てないんですけど、多分最強になりたいとは思ってないんですよ。ただ、こうやって指名されて勝ちたいと思ってるのは「負けるために勝ちたい」なんですよ。結局あの日の試合(1.28後楽園 KO-D6人タッグ戦)に繋がるんですけど、佐藤光留が言った「死を知ったから生きる」みたいな感じで。何だろ、絶対に最強じゃないから私は。このテンション長く続かないんですよ、だからベルトを獲って多分負ける、早々に(笑)

早々にですか(笑)

ディーノ)でも負けるために今回勝つっていうのは、それはそれでイイんじゃないかって。言うてもその都度負けるつもりでやるわけじゃないから、でも客観的に…これがもう歳なのかもしれないけど(笑)、やっぱり長くは続かないと思う。年齢もあって身体のこともあって。でもそれを活かすには、私が仮にベルトを獲ったら「今一番取りやすい状態だぞ」ってみんなに言ってやりたいんですよ。いっつもギリ届かない奴らにチャンスだよ、首獲ってみろ、今一番チャンスだぞって。何ならKO-Dの長い歴史の中で一番取りやすい状態だぞって。

なるほど、それは選手みんなの動きが変わりそうですね?

ディーノ)そうすることでまた何か変化が起こる、DDTに。その状態にするっていうのが私がベルトが欲しい理由かなって。意味を後付けした時にそういう意味が生まれてきてる。そうすることによって変わる人間がでてくるかもしれない。

俯瞰して見れるから余計にそう思うのかも知れませんね。

ディーノ)まあ後付けですけどね。最初は自分の欲で行動して後から理由を付ける。自分がこの仕事やりたいって言って後から理由付けることってあるじゃないですか?説得するために後から「これは会社のためになりますよ~」って。それに近いですよ(笑)。それが正しいかどうか分かんないけど、筋が通ってれば世の中に通ることだし。大人の考え方を覚えたんだなと。

ご自身もnote※で発信されていましが、我々同世代には共感できる部分があります。

※ぜひご一読を

https://note.com/dandieno/n/ne25a664a3d97

ディーノ)ちょっと、思ったより反響があって(笑)。それを読んだチャンピオン上野の反応もまた相変わらず痛いところを突くやつだなと。年齢のせいにするなよって全く以って正しいよ。けど、それはもうしょうがないよね。年齢のせいじゃなくて周りをみてしまうのはしょうがない、そういう性分だからね。おそらく『お前も時が来れば分かる』っていうことですよ。けどそれはあんまり言いたくない(笑)。上野が言ってることはほんと全て正しいよ、ほんとに痛いとこ突くなと。けど、こっちにはこっちの基準があって、年齢のせいにもしてるよ、もちろん。でも世の中の同世代が同じように感じてることを飛び越えて戦わないといけないなって思ってるよね。

いろんな環境にあっても自分の想いの強さって大事じゃないの?と。

ディーノ)そうね、おかげ様で自分の想いを優先できる環境というか職業なんで、そんなん言われたらやんなきゃいけないじゃないって思いましたし。今若くて最前線でやってる上野には多分頭では分かるかも知れないけれど、人生でほんとに付いてきたものとして、実感として分かることは無い。そのキャリアを持って戦うっていうのは私のひとつの武器かもしれない。人生としてそれを背負えているかっていうのは理解とはまた別のところだから。

思い出されるのはコロナ直下に出された「この中指に文句があるんだったら、直接私に言ってこい!」に始まる一緒に生き残ろうぜ!という動画です。凄く言葉に力があるなと感じました。

https://x.com/ddtpro/status/1247321532692443136?s=20

ディーノ)まあプロレスラーっていいもので、みんながしんどい時に先頭で何かできる仕事でもあるんですよね。プロレスのそういうイイところが世の中に伝わってないんだな~って思う時があって。最近「プロレス例え」が多いこの世の中に(笑)。その理解で使われたくないな~みたいなのはありますよね。まあ自由なんですけど、そこまで深く理解しろっていうのもおかしな話だし、いいっちゃいいんだけど、そこプロレス好きな人からするとズレてるよ~って思うんですよね(笑)

プロレスファンとしてもそれ分かります(笑)。コロナ直下の動画の時も「やっぱりこの人がアイコンだ」「DDTは最高だ!」というコメントもあり、僕も含めてディーノ選手に時折心を鷲掴みにされてますよ。

ディーノ)う~ん、私も別にアイコンになりたくて出てる言葉ではないから、昔はアイコンになりたくてやってた時期も少しあったんですけど、言ったことの収まりがつかなくなってみんなが言ってくれてただけだと思うんだけど(笑)。まあそれもこっちから言うことでもないし、過ぎたから言えることでもあるし。別にどうこう思われようと発してる言葉ではないしありがたい話です。

上野選手は「今の上野勇希と男色ディーノが闘ったら、どんな世界が広がって、そこに行ったらどう感じるか知りたいだけ」だと。上から目線というか余裕があるように感じられます。

ディーノ)まあいいんじゃないんですか、チャンピオンだし。まあ、上野と私ちょっと似てて、資質は全然向こうの方が上なんですけど、人間としての見方ってちょっと似てて。簡単に言うと相手の言いたいことを察することができるというか。でも上野は察するまでなんですよ。理解できるところまではってない、でもこれはしょうがない。28年と46年の差ですよ。付いてくる重りが違うんだからそれはもうどうしようもない。もがき苦しんでほしいですね(笑)

若者へのエールのような。

ディーノ)うん、そうするともっと凄い選手になれると思う。非の打ち所がないんだけど、それに苦しめられる時が来る気がします(笑)。簡単に言うと「共感」ですよね。それこそ欠点がきりがない私の方が共感を生んでるんですよ。完璧なものに憧れる人も一定数いますけど、不完全なものに共感する人の方が世の中多いんですよね。「共感」を多くの人に訴えかけるにはそのへんは無視できない、なぜなら多いんだから。それをどう自分の中で計算というか割りきり方をするのか、今回の戦いだけでなく上野の今後10年レベルで楽しみですよね。

上野選手がどんな答えを出すのか。

ディーノ)「答えを出す」というか「答えになる」んですよね、自分がやってきたことが結果になる。今そこでもがいてないと生まれないものも絶対にあるんで、人生のフェーズの違いだからどっちを否定するとかでもないし、おそらく上野もそれは分かってると思う、うん。

年齢だけで見ると一般企業でもバリバリエースでやるぞって時期ですね。

ディーノ)上野が凄いなと思うのは、彼の性格なのか分かんないけど、共存型のプロレスを成立させようとしてるとこなんですよ。相手を否定しない。今までのプロレスって相手を蹴落とす前提のプロレスなんですよ。そうじゃなくて共存のうえで自分の方が上だってやるので、余計性格悪いと思うんですけど(笑)。トラッシュトークとか、昔だったら外敵との対立構造を作ってましたよね。共存って対立が見えずらいから注目を集めにくいけど、それどこまで大きくできるのか、どこまでいけるんだろうって単純に楽しみですよね。

確かに上野選手は相手を否定したりトラッシュトークというイメージは無いです。

ディーノ)私がチャンピオンだった時は多様性をテーマにしてた時期だったんで、自分の生き方こうです、あなたの生き方どうですか?っていう作り方だったんですよ、タイトルマッチは特に。上野は君もイイ、私もイイっていう共存ですけど、私のは「あなたは何を出してくれますか?」っていう見本市ですよ、どっちかっていうと。

ある種イデオロギー闘争かもしれませんね。

ディーノ)形を変えて、今の時代プロレスっていう枠だと狭すぎるんで「人生」に広げちゃったってところはありますよね、私の切り口としては。まあ後付けですけどね(笑)

しかし当日はThe37KAMIINA(サウナカミーナ※)プロデュース大会、完全アウェーですね・・・。※上野選手が所属するユニット

ディーノ)それはもうそうでしょう、向こうの大会なんだから。でもそれに対する文句は無いんですよ。むしろ人生としてはちょっと舐められてる方が私はスタートがやりやすいんですよ、思ったより頑張ったなって見てもらえるから(笑)。あと持論というか、絶望的な逆境をはねのけるって見世物としての王道じゃないですか、どこまで覆せるかたのしみではありますよね。

深いですね、ここでディーノ選手が獲ったらお客さんの感情も爆発すると思います!

ディーノ)風呂敷広げてるぞ~(笑)。でもThe37KAMIINAの大会なんで、勝ったとしてもイヤ~な感じで終わるかもしれないですよ(ニヤリ)。全然関係ないけどサッカーアジアカップが今面白くって。つい最近のグループリーグで「イラクには勝つでしょ」って思ってたら「あれ!日本負けちゃった!」ってことありましたからね。みなさん覚悟して観に来てください!

■大会概要

【大会名】花より熱波3 〜ととのいをキミに〜

【日時】2024年2月14日(水) 開場18:20 開始19:00

【会場】東京・新宿FACE

【席種】スーパーシート(最前列)完売、カウンター席完売、特別リングサイド 6,500円(当日7,000円)、指定席 5,000円(当日5,500円)、初心者歓迎シート 3,000円(当日3,500円)※残りごくわずか、U-18チケット 1,000円(当日のみ/要身分証)、小中学生無料 0円(当日のみ/要身分証)

※ドリンク代として別途500円必要。

【チケット】

https://www.ticketpay.jp/booking/?event_id=49094

○KO-D無差別級選手権試合~上野勇希のサウナ室~ 60分一本勝負

<王者>上野勇希 vs 男色ディーノ<挑戦者>

※第82代王者2度目の防衛戦。

○~井上麻生のサウナ室~ 20分一本勝負

MAO vs クリス・ブルックス

○~勝俣瞬馬のサウナ室~ 20分一本勝負

勝俣瞬馬 vs 黒潮TOKYOジャパン

○~小嶋斗偉のサウナ室~ 20分一本勝負

小嶋斗偉 vs 田中将斗

○~DDTサウナ部vsDDT銭湯部~ 20分一本勝負

平田一喜&納谷トントゥ vs 樋口和貞&大石真翔

○6人タッグマッチ 20分一本勝負

岡谷英樹&夢虹&イルシオン vs 正田壮史&須見和馬&瑠希也

■プロフィール

男色ディーノ(だんしょくでぃーの)

1977年5月18日生まれ、広島県尾道市出身。日本が誇るゲイプロレスの第一人者。入場時に好みの男性客には無差別セクシャルハラスメント、邪魔な女性客にはグーパンチを食らわせ、リング上ではイケメンレスラーの唇を奪って至福を満たしている。4Gamer.netにてコラム「男色ディーノのゲイムヒヒョーゼロ」を連載中。

Twitter)@dandieno

https://twitter.com/dandieno

■聞き手

スレンダー川口

Twitter)@slender_kg

https://twitter.com/slender_kg

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