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【敬天愛人】「僕は相手との距離を盗むんです」誰ツヨDOJOy本部指導員、西村虎次郎インタビュー!

以前から参加者にすこぶる評判が良い「敬天愛人練武大会」。確かに私も観戦した方から楽しかったと聞いております。ならばと誰ツヨDOJOy指導員としても活躍し、第一回から参加している西村虎次郎選手にお話を伺ってきました!

聞き手:スレンダー川口 

https://x.com/slender_kg


ーーまずは先日のアンリミテッドトーナメント※のことをぜひお聞きしたいです。実は一回戦の久保選手には判定負けだったんですよね。

※「THE KNOCK OUT FIGHTER UNLIMITED」61kgトーナメント

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西村)はい。相手の久保選手は試合中に肩が外れてたみたいで、凄い大ケガして手術することなり準々決勝に出場出来なくなって。僕がリザーバーとして出場になりました。

ーーその久保選手は距離を詰めてくる戦い方でした。

西村)なかなか圧力の強い選手でした。上手いですよね。僕みたいな距離取ってこう翻弄するような相手には、やっぱりあれが最適なんだと思いますね。ちゃんと研究されてましたね(笑)

ーー2ラウンド、消耗しつつも最後に久保選手にストンと膝を着かせる打ち込みがありました。あと10秒あれば。

西村)でもあれは僕も感触がなくて、なぜ相手が崩れたのか分かんなかったんです。本当にかすった感じだと思うんです。

ーー準々決勝の平川選手は優勝候補と言われ打撃にも自信が溢れてました。カウンターの右を合わせる作戦でしたか?

西村)選考会から平川選手の戦いを見学してたんですけど、もう本当に気持ちのいいパンチを振るう選手ですよね。まっすぐ振ってくる相手だなというのは分かってたんで、あれは菊野先生の真似をしました。

ーーおお!あの構えはまさにそうなんですね。

西村)両手を開いて真ん中空けといて、距離を詰めたらそこに相手がいいタイミングで入ってくるので、そのタイミングさえずらせば当たらないよねと。同時にカウンター合わせるっていう作戦で行きましたね。

ーーなるほど!聞きながら試合映像が浮かんできました。

西村)素直な選手だったのでそこはやりやすかったですね。逆にこうガードして隠しちゃうと、相手はそれを崩すためにいろんな動きをしてくるじゃないですか。ランダムに。真ん中を開けてちゃんと誘っていけば、そこにしか来ないと。つまり相手の動きがまっすぐになるんです。

ーーあまりに真ん中空いてるから誘われちゃったという。

西村)まあ、ルールが1ラウンドだったのでこちらの作戦が上手くいったとしても、3ラウンドマッチだったら多分相手も対策してタックルに変えてきたと思うんです。運が良かった面もありますね(1R、判定勝利)

ーー平川選手、ほんとはフェイントやステップで崩しにかかる技術もありますよね。

西村)はい、ほんとは全然出来る選手だと思います。むしろ僕はこう手を下ろして中心に手が無いほうが安心できるというか、力が抜けて早く動けるなっていう。中心開けて顔を開けて、だけどタイミングを捉えるというのは、ナイハンチっていう型が教えてくれることなんです。型の練習ずっとしてたら、そんな感じになりました。 

ーー軸をズラしながらの右、よく当たってましたね。

西村)実はあの時こぶしを怪我してて、ナックルで当てられなかったんです。パウンドグローブの形状からどう当てようかなって考えて。ルール上、掌底はオッケーだったんです。ちょっとオープン気味に(手のひらを相手に向けるように)殴ってました。この練習してなかったんで、手首の角度の分ちょっとリーチが短くなっちゃって、うまいこと行かなかったなという反省はあるんです。 

ーー月刊空手道でするような話ですね。準決勝は木村選手でしたが残念な決着でした(ローブロウによる反則負け)

西村)本当に申し訳ないことしたなと思っています。

ーーお互いに前に出てのアクシデントですからしょうがないですね。ただもっと見たかったという空気感でした。

西村)とはいえ反省しています。

ーー川尻さんが解説で「西村選手はおもしろい選手ですね」「変則的ではない武道の動き」「三日月蹴りすごく良い」と褒めてました。

西村)試合控え場の入り口あたり、木村選手と僕が同じ場所にいたんですよ。で、解説の声もちょっと漏れ聞こえてるくるので、「わあ、川尻さんが僕のこと言及してくれました!」みたいに菊野先生と会話してて、直後に木村選手のこともジャブがいいですねみたいな解説があって、その時に木村選手が『あの川尻達也が俺のジャブを褒めてくれてる!』みたいな表情になってたんです。なんだろう、ちょっと仲間感があったんで面白かったです(笑)

ーー褒められ仲間(笑)。久保選手との一回戦、お互いたたえ合いながら引き上げていくところもまさに仲間感があって素晴らしかったです。

西村)やっぱりコミュニケーションなんですよね。戦うってなんかもう言葉交わす以上に何か情報のやりとりがすごい。一回戦が一番つらかったですけど、逆に達成感もあった。それを分かち合えたのが嬉しかったですね。 

ーー久保選手も終わった後の表情がすごい良かったです。

西村)久保選手がカメラに向かって「友達できた」みたいなことを言ってくれたんです。それはなんか理想とする格闘技像だなって感じました。

ーー努力して全力出したからこそ認め合う。子供たちに見せたいですね。

西村)そうですね。勝ち負けはあんまり気にしてないです。試合でもなんでも目標にしていることに頑張るってところが大事なんです。どちらかというと頑張ったり認め合う交流の場としての価値が、敬天愛人にはあるかなと。そう思ってます。

ーー以前、菊野先生ともしんどいけど努力する大切さについてお話しました。

西村)そのしんどさも共有できる。努力していることを共有できるというのも良い点だと思います。

ーーもともと菊野先生とはどんなご縁で?

西村)ファンだったんですよ(笑)。巌流島の時からファンでずっと追いかけてて、セミナーとか開催されるときはちょこちょこ行ってたんですけど、なんか道場を始めるらしいよって聞いた時に「よっしゃ!」と思って最初期に入会したっていう。

ーー最初はイチ生徒だったんですね。

西村)こういう弟子みたいな関係になったのは少し先で、こどもヒーロー空手教室がそれまで週一回、練習が週一回あったのが、参加人数がちょっと増えてきて菊野先生だけじゃ足りない、誰かいないかってなったんです。その時、有難いことに菊野先生の奥さんが「虎次郎くん、いいんじゃない?」みたいな形で推薦してくれたらしくて。

ーー菊野先生から「手伝って」じゃなくて、俯瞰で見てる奥さんから推薦されたっていうのは信頼されてる証ですね。

西村)そこは嬉しいですよね、はい。

ーー子供の指導を任せるっていうのは信頼がないと出来ませんから。子供クラスがメインですか。

西村)大人は週2回、子供は週4回、教えてます。子供達には、武道ですからプレッシャーも必要だけど、やっぱり楽しんでる時が変な緊張もなくて力が発揮できるというか。楽しい時間、ワクワクしてドキドキしてる時間を作ってあげたいなと思いますね。

ーーそれまで格闘技経験は?

西村)格闘技を始めたのは高校1年生の最後のほうからです。友達に人数いないから入ってよって頼まれて高校の空手道部に入って、高校を卒業したぐらいで誰ツヨ道場に通いはじめて、もうそれだけですね。

ーースタートは伝統派空手だったんですね。

西村)はい、伝統派です。オリンピックでも採用されたポイント制のやつですね。高校は川越工業高校っていう、空手道部としては弱小も弱小だったんですけど、ひょっとしたら厳しくやってなかった分、変なクセがつかなかったのは良かったかもしれないですね、ふふふ(笑)

ーー僕も伝統派空手をやってました。相手の攻撃は大して当たっても無いのにスピードで取られちゃうという悔しい想いを。

西村)ポイントは審判が決めますからね。

ーーボクサーの友達とマススパーをやった時に、それまで経験したことのないアッパーカットにびっくりしたり。

西村)分かります!僕も伝統派しかやってない時に、巌流島のトライアウトに参加したんです。トライアウト自体は菊野先生が巌流島といっしょに企画して作りあげたというか。3段階ぐらいにルールが分かれていて、僕がやったルールは顔面は寸止めでボディは当てていいみたいなルールでした。その時に初めてフックっていうものを(笑)。その存在は知っていても「あ、もらった。なんだこのパンチ?」みたいな。伝統派だとこう回す系はあんまり見ないので。

↓当時のご本人のレポートもぜひ!

https://x.gd/JBp3s

ーーショート動画で出てくるビヨーンと伸びるパンチ、とても気になってます。

↓このパンチ、びっくりします!

https://x.gd/ZELVN

西村)ナイハンチの型でも、体を動かさずに拳、つまり自分の体の一番遠いところから動くと、全部が揃って重さが移動していくということを教えてくれています。なので拳だけを動かそうとめちゃくちゃ練習するんですよね。ただ、手を伸ばそうとした時にどうしても体が動くので、それをしないようにイメージを使う。イメージを使うとそれ通りに体が動いてくれるので。

ーーおよそ格闘技がつま先から動きを連動させよというのと全く逆の発想ですね。フックとか正にそうですけど。

西村)当てるっていうことに特化すると、やっぱそういう「起こり」が発生しちゃいますよね。体が動いちゃうとそこで察知されちゃいます。でもナイハンチの突きだと体が動かないので相手には当たる直前まで察知されないんですよね。ヒジから拳まで、このぐらいの距離を盗むことができるという考えです。で、そこに威力が乗ればもちろん良いですし、もっと言うと武術的な考えだと、急所の攻撃だったら別に威力は必要なくて、気づかれずに急所に打撃を与えられたらOK、そういう思想の技です。 

ーー相手にとっては地獄ですね(汗)

西村)本当にそうです。そこでもう勝敗が決しちゃうんで。

ーー菊野先生もそこを褒めてましたよね。「西村は距離とか察知する能力に長けている」と。

西村)ふふふ。

ーー30cmの距離盗むって、ジョジョの世界ですよ!

西村)ははは、なんか言われますね、それジョジョだよって(笑)

ーー7月の敬天愛人練武会はどんな内容なんでしょうか。

西村)”親が子供に見せたい格闘道”を体現するための、まあ異種格闘技大会なんですけど、いろんなルールがあるんですよね。30種類ぐらいルールがあって、顔面ありなし寸止めから、投げあり寝技ありっていうところがまず9種類に分かれてて。その上でなんか武器がある、急所攻撃がある、カバン対ナイフとか棒対素手とか、あとなんか障害物があるところで使うとか、3対3の合戦みたいなやつとか、全員が敵のバトルロイヤルみたいなものとか。いろんな状況を、実戦とか護身とかっていうところを想定して、自分が「出たいな」「自分の技術を試したいな」っていうのを選んで出場できるっていう。 

ーーシチュエーションバトル、面白そうです!

西村)格闘技ってまずルールが絶対的なものがあって、そこで勝つための技術を競うんですけど、武術ってそれぞれ想定している状況が全部違うじゃないですか。多人数を想定しているとか、船の上を想定してるとか。想定された状況がいろいろあると思うんですけど、それを実際に使うのは今あんまりできないですよね。競技であることも大切だと思うので、出来るだけ武術に寄ったルールを作って、自分の技術を試し合う場を作ろうっていう大会です。 

ーー非日常の体験という意味でも。

西村)今回は本当にビギナールールって言って、格闘経験がないっていう人もエントリーできる、顔面攻撃がなくボディプロテクターがある、みたいなルールも作ったりしてます。できるだけハードルを下げて下げて設定してます。 

ーー「ちょっとやってみたい」が出来そうですね。

西村)武術の良いところは、実戦を想定する・護身を想定するところなんですけど、競技じゃなくて実際に本気の相手、本当に潰しに来ようとしている相手とぶつかり合うっていう経験が無い、もしくは少ないと思うんです。もちろんちゃんとやる団体もあるんですけど、無いところも多いと思うんです。やっぱり経験してないといざって時にびっくりしちゃって多分動けない。実戦的な練習してるけど…という方にはぜひその経験してほしいなと思っています。

ーースポーツで練習したことを試合で出すのは難しい、と同じで。

西村)武術なんだけど競技は開催してないな、みたいな武術が今回もたくさん出場してくれるんです。おそらくみなさん聞いたこともないような武術とか、試しに出てきてくれてるので、すごい面白い大会になってると思います。

ーー見てるだけでも面白そうですね。

西村)前回も、なかなか見たことないような投げ技とか、「なんで転んだろう?」みたいな投げ技とかが出てきたり。ものすごい蹴り技、くるくる回るような蹴り技とかが出てきたり。本当にこんな技あるんだっていう、ちょっと普通の格闘技じゃ見ないような技術がバンバン出てきますし、シチュエーションに応じて有効な技も変わってきますし、そこは見てるだけでも面白いかなと思います。

ーー我々おじさん世代の参加も平気ですか?(笑)

西村)年齢は16歳の高校生から上はもう60代のお父様が出場してたり、基本的に無差別なんですよね。一応レベルと体格は合わせるんですけど、とはいえ5キロとか6キロとか差があったりもするし、年齢も20代と60代が戦うみたいなのもありますし。 

ーー格闘技経験があればどなたでも?

西村)本当にもう、対人稽古をしたことないんですみたいな方でも全然OKです。

ーーダンボールサンドバッグしかやってない人でも良し(笑)

西村)「動画とか雑誌とか見て自分で編み出したんですけど・・・」みたいな方でもどうぞどうぞと。でも、めちゃくちゃ強い人もいますね。日本拳法のトップ選手とか、伝統派空手のトップの選手とか、キックでプロ経験もあるよ、みたいな人まで。なので本当に幅広く、自分の技術を試すためにみんなが出てきています。 

ーーそこは経験値でバランスを取ると。

西村)はい、ご安心ください!基本アマチュア大会なんですけど、前回からプロ試合も行ってます。倒したあとのパウンドもOKというルールになってて、見せるための試合というか、過激な試合になってます。でも覚悟を持ってそういう危険なところに飛び込む選手たちの勇気みたいなのも見せられるかなと。

ーー最後に、菊野先生のポストに「美味しいコーヒーとお菓子も準備」とあるのが気になります(笑)

西村)ふふふ。そちらもぜひお楽しみに!


■大会情報

第7回敬天愛人練武大会

https://youtu.be/51fx-IsRJ_M?si=CbSOHb19A8yTSudS

日時:2025/07/21 (月)10時~

会場:ひがしんアリーナ(墨田区総合体育館)武道場

チケット

https://www.ticketpay.jp/booking/?event_id=55556

概要・ルール

https://ktaj.net/about/competition/

◯多種多様な武道・武術・格闘技の多種多様なルールでの異種格闘技 60試合以上

◯プロ試合4試合(防具無し)

◯実験ルール、チャレンジ企画

◯物販有あり

◯美味しいコーヒーとお菓子も準備

西村選手は、日本拳法をバックボーンに持つ実力者、左禅丸選手とメインイベントで激突!

■プロフィール

西村虎次郎(NISHIMURA Kojiro)

Instagram)

https://www.instagram.com/nishi_tiger/

Twitter)

https://x.com/4771tiger

1999年7月22日 北海道釧路市出身。こどもヒーロー空手教室 指導員、誰ツヨDOJOy 本部指導員、DRAGTIGA COMICS代表。趣味は読書、執筆。

好きな映画は「塔の上のラプンツェル」、好きな小説は「図書館の魔女」

尊敬する人は、合気道家の塩田剛三、柔道家の野村忠宏、空手家の菊野克紀。

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