閉じる

“バレエ未経験”俳優:鈴木浩文がNBAバレエ団に潜入!『ジゼル』のダンサーたちに聞いた知られざるバレエの世界、10,000字越え座談会!

「バレエ、観たことないんですよ」という俳優:鈴木浩文。じゃあ新鮮な気持ちで対談できますねと、NBAバレエ団にお連れしました。スタジオの広さ、天井の高さに「ほえ~」と驚きながら、舞台に立つ人間だからこそ共鳴した濃密対談をお届けします。

収録日:6月29日 

取材:スレンダー川口

https://x.com/slender_kg

鈴木)あの、同じ名前なんです。僕もヒロフミでいつも「ヒロ君」でした。

北爪)僕も「ヒロ君」でした。今はヒロさんとか。

鈴木)そこも全く一緒だ(笑)

市原)北爪さんは海外でもジゼルを経験されてるんです。

寺尾)(北爪さんに手をやって)スーパースターです。

鈴木)すげえな。どちらに行ってたんですか。

北爪)アメリカとヨーロッパですね。10年ぐらい。

鈴木)おお~。皆さん何歳からバレエを。

北爪)僕は8歳から始めました。多分ちょっと遅い方だと思います。

市原)私も遅い。10歳からなんです。

寺尾)私は5歳から始めました。

鈴木)5歳!それが普通ぐらいなんですかね?バレエってそんなに早いんですね。

北爪)早い子だと3歳ぐらいから。もう歩けて喋れたらバレエを習い始めちゃう。子供って真っ新だから、音楽聴いてみんなと並んでストレッチ、とかしっかり覚えて、それを踏まえてコールドバレエって群舞につながってく感じです。早ければ早いほどいい。だから僕はスタートダッシュに失敗した男です(笑)

鈴木)5年分違うんですもんね。俳優だったら別に遅く始めてもマイナスになるわけじゃないんです。結局生きてきたことが反映されるから。

北爪)医学的というか、バレエは骨が成長しきる前にやった方が良い。日本人って骨格自体が内側に向いてる人種なんです。その点では実はバレエダンサーに向いてない人たち。それを無理やり広げて外に向けて、ストレッチで足長く見せたりしてるんです。

鈴木)すげえ、努力で美しさを作ってるんだ。

北爪)海外のダンサーたちはもう元から骨格が開いてて、バレエ用に生まれた骨格の人たちって感じなんですよ。

鈴木)実はバレエを見たことがないんで、ちょっとバカな質問になるかもしれないですけど、演目とかやるときってセリフあるんですか。踊るのみ? 

北爪)この前のリトルマーメイドは、音に対してセリフが付いていて、演者は全然喋ったりしないんですけど、流れてる曲とセリフに合わせてカウント取って踊ったりしてました。

鈴木)へえ~。

北爪)クラシックと違ってコンテンポラリーっていう別枠のバレエがあって、そっちは結構自由なんです。海外で観た中ですごい衝撃だったのが、ダンサーが両手にインク持って現れて、それをダンサー同士でかけ合うんですよ、20分間ぐらい。それでおしまい。 

鈴木)え!しかも踊らない?

北爪)でもそれがコンテンポラリー作品ってニュアンスになってる。僕たちが今回踊るジゼルは喋ったりはしない。インクもかけないです。

鈴木)よかった(笑) 公演は2つのチームでやるんですよね?

市原)私たちは1日目、土曜日です。みんなおんなじです。

鈴木)僕らの舞台だと共演するとセリフを交わすじゃないですか。バレエは全員いっしょに稽古するんですか。それともバラバラに?

市原)ジゼルは2部構成みたいになってて、1部に出てるのが寺尾さん(ペザント)と北爪さん(ヒラリオン)、2部の構成の時に私(ミルタ)と北爪さん。部によって出てる人は違うので、同じ作品だけど稽古もパートごとですから出会わなかったりもします。

寺尾)晴菜さんと私、作中では出会わないですね。

鈴木)そうなんですね。公演自体は2時間ぐらいあるんでしたっけ?

北爪)休憩入れて 2時間ですか。大体それぐらいに収まるように設計されてます。人数は全幕のバレエだったら40人ぐらいからです。

鈴木)めっちゃ多いですね。でも役名がついたメインキャストは少ないと。

北爪)選りすぐりの、選ばれた人たちが出てきます。鈴木さんは何歳ぐらいから俳優業を。

鈴木)僕めちゃくちゃ遅いです。27から始めたんで。それまで普通に働いてて、2年間の社会人生活がそんなに楽しくなかったんですよ。中学の時は中学が一番楽しくて、高校になったら高校が一番楽しくて、同じく大学も楽しくて。でも社会人ではそれが更新されなかったんです。それがすごく嫌でとりあえず辞めたんですよ。

市原)先に辞めちゃったんだ。

鈴木)で、何しようって時に、高校の文化祭でみんなで劇やったの楽しかったな、小説も好きだったなと。養成所に応募して小説も1本書いて応募して、先に結果が来た方の道に進もうと思ったんです。そしたら東京の養成所から連絡来たんですぐ上京しました。そこを卒業したのが27ですね。思い切りでやってみました。でもそんな昔からバレエへの熱が続いてるってすごいですね。 

北爪)続いてます?

市原)(うんとうなずく)

寺尾)一応…、続いてます。

鈴木)そこは熱く続いててほしい(笑) 皆さん10年、それ以上か。僕は今年4月から11年目なんですけど、10年も続けたことが他にない。むちゃくちゃ続けてますよね。

北爪)いや、でもこれが不思議と飽きないんです。僕はすごい、バレエが大好きなんです。終わりがない。ゲームだったらそれこそRPGってゴールまで行ったら終わりじゃないですか。何周か楽しむってこともあるけど。でもバレエはそこがないというか。正解はもちろんあるんですけど、その正解以上のものを求められたりとか、例えば演じる・踊るその人たちで表現の仕方とかって違うじゃないですか。

(女性お二人、うんうんと相槌)

北爪)同じ役を違う人が踊ったら、2キャストとも見た方が面白いよねっていう。それぞれ人間性が見えるから面白いですよね。俳優さんとかもそうなんじゃないかな。 

鈴木)いや~、良いですね。僕も役者やって一回もまだ後悔したこと無いですね。お金が無くなったりとかめちゃくちゃありましたけど(笑) 一回もまだ飽きてないですか?

市原)飽きてはないです、ふふふ。

北爪)でも中学校の時、一回嫌になりましたね。やっぱり友達と遊ぶ時間が無くなっちゃったので、学校終わってすぐバレエ行くっていうのがすごい嫌になったんですよ。僕、お姉ちゃんがバレエやっていて、それに付いてってやり始めたから、自分でやりたいって思ってなくて。だからとりあえず遊びたかったんですよね。

鈴木)ああ、そうなりますよね。

北爪)たまにそのバレエスタジオに嘘ついて休んでましたから。当然バレて「塾行くかバレエ行くか、あんたはどっちかしかないから!」って迫られ、じゃあ絶対体動かす方だなって決断して、そこからは真面目にやり始めました。茨の道を選んじゃいましたね。

鈴木)そこから海外でも踊ってきたって、むちゃくちゃ成功してるじゃないですか。

北爪)いや~、そんなことないですよ。そんなことはない。いっぱいいるんで、そんなダンサーは。鈴木さんもそうでしょうけど、持ってるものを捨てて新しいものに挑戦するって凄い難しいことだと思うんですよ。一歩踏み出すのが一番大変なことだと思う。僕はたまたまその時に勇気があっただけで、このバレエ団にいるみんなも絶対できると思います。 

鈴木)なるほど。踏み出すかどうか。

北爪)同じレベルの人たちが集まってるんじゃないかなって思いますね。踏み出すか踏み出さないかはみんな次第っていう感じ。

鈴木)いいですね。公演をやる時以外でも毎日レッスンがあるわけですよね。役者は舞台があったら稽古はするけど、空いてる時間って何でも言い訳できちゃう。何でも勉強になるけどちゃんとやるのかやらないのか。集まってレッスンってなんか素敵だなと思います。今日は朝からレッスン終えてこの時間ですか。

市原)朝はいつものレッスン。トレーニングみたいなのして。この後もちょっと。

寺尾)トレーニングっていうか、レッスン前の何て言うんですか、アップみたいな。

市原)でも男性は結構トレーニングやってますよね。

鈴木)鍛えなきゃダメですもんね。体力もエグそうですよね。

寺尾)女性を持ち上げたりするから。

ーー女性側も持ち上げられた時に崩れないように体幹トレーニングとか。

寺尾)いや、レッスンだけです(笑)

鈴木)レッスン自体がえげつないんでしょうね。身体的に高負荷なんだ、きっと。

寺尾)でも1時間半ぐらい。人によるんですけどその後にリハーサルです。

鈴木)その演目を作ってく稽古の風景は想像できないです。絶対舞台と違うだろうし。

寺尾)今スタジオに行ったら見れますよ。役ごとにリハーサルが組まれていて、時間割です。

鈴木)あとで見たいです!めちゃくちゃ嬉しい。どれくらいの曲数があるんですか?

市原)二時間分たっぷり。二十曲とか。

鈴木)二十曲!僕ダンス全然ダメで、ちょっと前までカウント取れなかったんですよ(笑) ファイブ、シックスでビクビクしちゃうぐらい。あの「出とちる※」とかないですか…。

※舞台や演劇などで自分の出番を間違える、すっぽかしてしまう失敗

お三方)全然あります(うんうんと共鳴)

鈴木)そんだけあったらやっぱあるか~。僕らは大いにあるんですけど(笑)、でもセリフがあるから上手いこと入っていけるんです。着替えが間に合わないと思ったら、舞台袖から声出しながら『なんかやってるのかな?』って思わせる芝居をしながら出てったり。

寺尾)へえ~。

鈴木)ダンスに混じるとか、遅れた時には音が違うからもうバレちゃいますよね。ごまかしの方法とかあるんですか?

市原)さすがに出とちったことはまだないです。私はないですけど・・・。

北爪)僕はしょっちゅう(キッパリ)

鈴木)しょっちゅう!今ぐらいもう堂々と行くしかない!

北爪)ほんと堂々と行くしかないです。これで合ってるんだ、俺は間違ってないって顔して。で、後でリハーサルしてくれた人たちにババっと「すみませんでした!」って(笑)

鈴木)やっぱ別世界はおもろいなぁ。僕、自分らのチームがあって舞台を作るんです。僕は脚本書いて演出をするんですけど、皆さん作り手の方をやったりしないんですか。 

北爪)NBAバレエ団では無いんですけど、日本って凄いいろんなスタジオがあるので、たまに振り付けのお話をいただくことがあります。そういう時は音決めて、何人使うか決めて、とかってやったりします。 

鈴木)結構見え方変わりますよね。外から見ると全然変わる。

北爪)全然違いますね、やっぱり。こう客席から見てるのと踊ってるのとは全然違う。

市原)違いますよね~。

鈴木)寺尾さんは作り手側は。5歳からやってたらもう絶対できるんじゃないですか?

寺尾)なんか自分には出来ると思えないんです。センスなんです、そういうのは(笑)

鈴木)いわゆる俳優業とかに興味ないんですか。

寺尾)いや~喋れない…。声出せないです。

鈴木)僕ら俳優がバレエってのは多分できないんですよ。でもバレエからこっちには絶対来れる。踊れたら強すぎますよ。ミュージカルもあるだろうし。興味ないですか。

北爪)僕はありましたね。昔ミュージカルもやってたんです。ちっちゃい規模の市民ミュージカルみたいなのだったんですけど、それは12、13歳ぐらいの時。でもすごい楽しかったですね。歌って踊ってセリフ覚えてっていうの。

鈴木)でもやっぱバレエの魅力には…。

北爪)そう、勝てなかったんですよね~。なんで辞めたんだろうと思って。今でももったいね~と思ってます。

鈴木)めっちゃやってほしいですけどね。多分すごい華が咲きそうな。ミュージカルとか絶対合うだろうし、舞台も絶対向いてると思います、皆さん。

北爪)俳優さんはリハーサルっていうか、舞台を作る時どういうことをされるんですか。

鈴木)演出家によってやり方は全然違うと思うんですけど、僕の場合は俳優をやってるのもあるんで、台本渡して基本は役者に任せるというか。その人が持ってきたプランがルート的に間違ってなければ、それを活かして演出をつけていくっていう形ですね。

ーー演出家にプランが出来てるケースと、役者のオリジナリティを尊重するケース。

鈴木)あんまり決め打ちで「ここはこういう言い方」とか言わないです。脚本を読めなかったり、「自由にやって」がまだ難しい子には辛いかも知れないですけど。最初は怖かったですけどね。自分の言うことが正解って風になっちゃうから。けど今は楽しいですね。

(さっきから北爪さんがうんうん頷いている)

鈴木)最終的には絶対に下手に見えないように整えるんですけど、何か「これはこう!」って決めちゃうと、誰が演ってもいいじゃんってなっちゃう気がして。

北爪)全く同じ考えです!すごい分かる、それ!「その人の良さ」が大事。

鈴木)やっぱ生って素敵じゃないですか。その人から出るパワーとか。もしドラマとか映画が全部AI俳優に乗っ取られても、舞台とかバレエとか生で見る役者は絶対に残り続けるから、「その人の良さ」を出すものを作っていかないと。

北爪)ありがとうございます!その通り!

鈴木)バレエの作り方って本当に想像できない。ご自身で作品を書くとかしないんですか。こういう作品を作りたいみたいな。

北爪)なんとなくぼんやりとノートに書いたりとかします。でも舞台作るっていうことに関しては、基本ほぼ同じなんじゃないですかね。

鈴木)観に行くかもしんないです。公演日の8月29,日 30日って多分空いてる気がするな。

ーー執筆が詰まってなければ、ね(笑)

鈴木)そうそう、さっきも移動中に「これをいつまでに書き上げる、次に朗読劇、あ、ドラマも書かなきゃ・・」とかめちゃくちゃ脚本が重なってて。書き物が無い時はもうずっとポケモンやってます(笑) でも毎日バレエ漬けで、他にやってみようかなって考えたりとかは?

北爪)今のところないですね。ずっとこれだけで生きてきちゃった。

鈴木)カッコイイな!

北爪)逆に他のことができないのはちょっと難点かなって思ってますけどね。デメリットじゃないけど。

ーー市原さんは”食べる”が出来るんですよ。

市原)はい、食べれるんです(笑) なんかお腹いっぱいにならなくて。悩みでもあるんです、ふふふ。

鈴木)そんなほっそいのにどんだけ食べても?ずっとお腹空いてるんですか。

市原)食べなくてもいけるんですけど、食べ始めたらなぜか終われない。終わりがないんです。食べてもいい時は2キロとか。

ーーそれ合宿の量です!(一同笑)

鈴木)それは家で自分で作るんですか?

市原)いや、あまり作る時間がなくて外で食べたり。でも年を重ねて食べれなくはなってきてます。あと、毎回2キロ、毎日2キロじゃないんです(笑)

鈴木)食生活やっぱめっちゃ気をつけてるんですか、皆さん。でも動くからそんな気にしなくてもいいのかな。最近ちゃんと意識しないとマジですぐ太っちゃいますもんね。

寺尾)舞台前は、ちょっと禁酒してみたり。

鈴木)禁酒だ(笑) 普段家でも飲むんですね。何が好きなんですか。

寺尾)私はビールです。

鈴木)みんなで飲みに行ったりしないんですか?

寺尾)しない!(笑)

ーーすんごい笑ってますよ。

市原)若い人たちはみんなで集まって~、とか全然あります。若い子たちが結構入ってきてるんです。下の方が多いんですよ。

寺尾)私たちから下もいっぱいいます。私たち、結構真ん中ぐらい。

鈴木)じゃあその子たちはまだ「みんな飲み行こう!」ができるんだ。

市原)元々はありましたけど、だんだん減ってきたんです。先輩たちがいた時は一緒に連れてってもらったりとか。先輩がいなくなったらもう無くなった。自分が誘わないから(笑)

ーーそれ食べる量についていけないからでしょう(一同笑)

鈴木)俳優は結構多いです。稽古終わり絶対飲みに行くとか。前の舞台の時も基本終わったらみんなでご飯行って終電まで飲んで、下手すると終電以降もずっと。明日も稽古あるのに飲み続けるとかは全然。バカだからきっと、あの人たちは(笑) 

北爪)会話から何かが生まれるってのがあるんじゃないですか。

鈴木)それは確かに。最近は〇〇ハラスメントとかで、タバコ中に芝居の話しちゃいけないとか、演出家から飲み会誘っちゃいけないとか、あるらしいですけど。舞台稽古中とか飲みに行くとやっぱりその芝居の話めちゃくちゃしてますね。そういうのはあります?

寺尾)しゃべんない…(笑)

鈴木)しゃべんない!あんま仲良くないんですか(笑)

北爪)僕、奥さんもダンサーなんですけど家でもしょっちゅう喋ります。ずっとバレエの話してても全然苦じゃないです。

寺尾)晴奈さんも旦那さんがダンサーです。

市原)でもあんまり家でバレエの話しないかも。

鈴木)個々の演技については?「あそこのあれ、ちょっと良くないと思うよ」みたいな。

市原)言います。私たちは(笑)

鈴木)あ、言う!ケンカになんないですか?夫婦間で議論やって。

北爪)うちはあまりもうならないですね。昔はしょっちゅう喧嘩してましたけど(笑)

市原)一緒に踊ったりもするから余計にね。

北爪)その時はお互い譲らないです。こだわりが強いから。

鈴木)自我というか意志が強い人多いですもんね。僕らも含めこういう職業は。

北爪)多分変わってる人たちしかいない。普通に生きてたらこういう道に行きたいと思わないですもん。芸術家は変わってる人たちだよね。絶対に。

ーーお笑いの人が昔言ってました。朝9時に会社行けないからお笑いやってんだって(笑)

鈴木)確かにきつかったな、サラリーマン時代。でも僕、仲間には恵まれてるんです。チームがいっぱいあるんですよ。ショートドラマを作るチーム、今回一緒にやるチーム、戦隊も5人でチームだったし。

ーー若手に教えたりもするんですか。今のはこうした方が、とか。

寺尾)私はそういう立場じゃないので、先輩たちは色々あったりすると思うんですけど、私は教えてもらう側です。

北爪)俳優さんでもそういうのってあります?先輩からこう教えてもらっていう。

鈴木)僕もあんまり稽古中は言わないんですけど、やっぱ飲み会になるんすかね。稽古中って結構時間が限られてて、ひとりにたくさんの時間を使えないから、ポイントでしか言わない。多分うまく理解できなかったところを後から聞いてくれてる。それは戦隊の時もめちゃめちゃ意識してたことですね。 聞かれたらめちゃくちゃちゃんと教えようとは思うんです。けど最近は風潮的にも自分からあんま言わなくなっちゃったな。何よりその子の感性を潰したくないというか。 

ーー鈴木色になっちゃうのもよくない、と。

鈴木)先に演ってもらった方が絶対いいと思う。今回僕らの公演は8月1日、2日にやるんです。4作品のオムニバスを。10日ぐらい稽古期間を取って、その10日の中で各チーム何回か稽古やったらもう本番やろうみたいな。短い中でガッと作れる人たち、だから上下よりも同列でドンっと出来るのが今回のメンバー。劇団じゃないんで毎回違う人とやれるのは楽しいですね。バレエ団としては仲間の癖とか分かるからやりやすかったりしますよね、きっと。 

北爪)いや、やりにくかったりもします…。

市原)ふふふ、北爪さんは分かりやすい(笑)

寺尾)ふふふ、公言してるから(笑)

北爪)すごい人間関係が大事だってのは分かるんですけど。ダメなんですよね~。

ーー鈴木さんあります?あの人絶対ダメです的な。

鈴木)僕らも、例えばダメな人とキスシーンがあったとして『ああ嫌なんだろうな』って気づくと思います。舞台でも『この二人仲悪いんだろうな~』とか見てて分かります。距離感とか喋り方とか。芝居だとめちゃくちゃ分かりやすいですね。

ーーリフトなんかタイミングがズレたらケガの可能性も。

市原)NBAバレエ団の男性の方はみんな上手なんです。

鈴木)命を預けますもんね。全然違う緊張感なんだろうな。今回3人で絡むところは?

寺尾)私はあまり誰とも絡まないです。急に出てきてパッと踊ってパッと帰っちゃう。ジゼルっていう主役の女の子の友達みたいな役で、明るく元気に踊っています。

市原)一番明るい人。ジゼルの。

鈴木)めっちゃいい子なんだ、きっと。幸せになってほしい子だ。お二人は?

北爪)僕のヒラリオンは、ジゼルと同じ集落に住んでて、ずっとジゼルのことが好きで想い続けてる人です。影でずっと支えてるんですよ。でもジゼルはそれを全く知らない。ある日ジゼルが男の人と一緒に歩いてるのを見て、それがすごく嫌になっちゃって「俺んとこ来てくれよ」って言うんですけど、当然ジゼルはその俺のことを好きでも何でもないから、はじかれちゃう。そこからいろいろ問題が勃発していくっていう役です。

鈴木)問題のきっかけ、めちゃくちゃ大事な役どころですね。市原さんはそこに絡む?

市原)第1幕でジゼルが亡くなっちゃうんです。その亡くなった後のお話で、私はお化けたちのボスみたいに、お化けを束ねる強い人。ジゼルを追って、ヒラリオンだったりアルブレヒトに、「私は許さない。踊って踊り狂って死になさい」っていう。めちゃくちゃヤバいヤツです。

北爪)男を毛嫌いしてるんです。でも元々はこのポスターの真ん中の男、アルブレヒトが悪いんです。

市原)めっちゃ悪い。気持ちがこう、はっきりしないヤツですね。みんなに期待を持たせるようなタイプの人。

北爪)バレエの男性の主役ってそんな人たちが多いんです。浮気性なんですよね。それがバレてもみくちゃになって、どっちかが死んじゃう。昔はそれを悲劇にしやすかったんでしょうね、きっと。 白鳥の湖だったりジゼルだったり、そういうストーリー性のものが多い。「男が悪いでしょ」ってそりゃ悪い。

ーーポスターに「知ってるはずのジゼルがここまで深くなる」と。

北爪)元からあるジゼルって作品に、芸術監督の久保さんのテイストが入ってくる感じだと思うので、話がごろって変わってしまうというより、おまけがついてくるっていう。

鈴木)台本みたいなのは無いですよね、だってその場で演出つけていくってことだから。

寺尾)台本は無くて、動画があるんですよ。

北爪)ダンサーたちは必ず前にやった公演の動画を一通り見て、自分たちの役を覚えてリハーサルに行くんです。そのリハーサルの中で芸術監督がちょっとここ変えてみよう、こういう風にやってみよう、カウント変えて音変えて、そういう風に組み込まれていく。

鈴木)へえ~、おもろ!台本がないって意外な気もするけど、舞台もドラマなんかもやっぱ台本が出来上がってないことがある、普通に。4話までしか持ってなくて自分の役をこう考えてたけど、5話以降で『あ、ちょっと違ったんだ』みたいな時もあった。

ーーでもしっかり書きあげてる人もいますよね(ニヤリ)

鈴木)俺、舞台始まる前に脚本書きあげる、書き切ろうとしてるの優秀ですよね(グッ)

寺尾)みんな安心しますね。

鈴木)今回4本なんですけど、今2本書けてて3本目がある程度書けてる。全体で言ったら70%ぐらい。うちらのチーム5人、客演さんが5人の計10人でやるんですけど、それを4作品にどう分配していくか考えながら書く。4つともテイストは変えたいから、コメディがあったり、ちょっと重さがあったり。「この子さっき重い役やったから、こっちでコメディやらせてあげよう」みたいに考えたり。大変ですけど楽しいです。 

ーー大体インスタに「もう寝る!」とか出し始めるんですよ。煮詰まったなって(笑)

鈴木)朝4時ぐらいにね(笑) 確かに最近ずっとやってるな。でもちょっと深くなるってところは楽しみですね。もっと悪いやつになってるかもしれないし。

ーーでは見どころをひとつずついただきましょう。

寺尾)主役のジゼルにはゲストの吉田早織さん。今日から参加されてるんですけど、その方が初めてNBAの舞台に来てくれます。それも新鮮だと思うし、私自身は、多分体力的にきつい踊りをやります。この間リハーサルがあって監督が全部見てくださったんですけど、ちょっとキツかったんです。それを頑張りたいです。 

北爪)「私が、見どころです」と(笑)

寺尾)ふふふ、よろしくお願いします(笑)

市原)私の推しは2幕目、24人の群舞。白い幽霊たちが踊るところがあるんですけど、そこが完璧にいけば綺麗に重なるっていう動きがあるんですよ。あれは結構ジゼルの中では拍手が出たりする見どころです。楽しみにしてもらえればなと思います。 

鈴木)迫力あるんだろうな、それを指揮するみたいな感じで。ボスだから。

市原)私はやらなくていいんですけど、みんなは大変です。

北爪)ジゼル自体がずっと昔からある作品なんですが、先ほどお話しした通り、久保監督のテイストが少しずつ入ってくる。全く新しいジゼルになってくるんじゃないかなって思ってて。それこそポスター通り「知ってるはずのジゼルがここまで深く、新しい感動に出会う」っていう。このキャッチコピーに全てが現れてるんじゃないかなって思ってます。 

ーー鈴木さん、このお話聞いて期待するところは?

鈴木)大勢で綺麗に踊るんだろうなとか、柔らかさとか、奇想天外な動きとか、その程度の楽しみ方ぐらいしか想像できなくて。この曲順がイイんだよ、この曲の後だからこの踊りが映えるんだよとか、絶対こだわりがあるはずだから、もっと深く知りたいです。しかも3人のこと知っちゃったから「あ、言ってたやつ!」とか、そんな楽しみ方もしてみたいです!


■公演概要

NBAバレエ団公演『ジゼル』

会場) 新宿区立新宿文化センター 大ホール 

東京都新宿区新宿6-14-1

日時)8月29日(土)開演13:00(開場12:20)

   8月30日(日)開演13:00(開場12:20)

チケット

https://x.gd/8lOn5

■プロフィール

北爪弘史(役:ヒラリオン)

https://nbaballet.org/dancer_staff/dancer_staff-6141

市原晴菜(役:ミルタ)

https://nbaballet.org/dancer_staff/dancer_staff-616

寺尾はづき(役:ペザント)

https://nbaballet.org/dancer_staff/dancer_staff-6892


■鈴木浩文さん公演概要

公演名)CoZaTo × おともだち公演

日時)2026.8.1〜2026.8.2

会場)TKJシアター

東京都中野区中野1丁目27-1 TKJ-ONE 1F)

みどころ)

CoZaToはだいたい夏にこういったオムニバス公演をやるのですが、今回は「おともだち公演」と銘打って、4作品公演します。

「おともだち」にしたのは、「お客さんとの触れ合いを作りたい(=友達のような距離)」や「出演してくれる役者を友達から選んだ」といったような意味合いからです。

なので、「どういったお芝居をする人たちだ」というのを、脚本・演出のぼくが分かった上で始められるのが、今回のおもしろいところだと思います。

「この人にこの役をやらせたかったんだ」、「この人にはこの役が合うと思ったんだ」みたいな目線での楽しみ方もあるし、「もともと関係性のある人たち同志の息の合い方」という良さもあると思ってます。

4作品それぞれテイストの違うものを書きましたので、ご自身の好みに合うものがきっとあると思います。是非、見つけてみてもらえると嬉しいです!俳優・脚本家(1623 こと 鈴木浩文)

■プロフィール

鈴木浩文

俳優・脚本家(1623)/所属: ATGファクトリー、CoZaTo、ごっこ倶楽部(立ち上げメンバー)/ファンサイトはこちら

https://suzukideck.bitfan.id

公式X)

https://x.com/sukkun?lang=ja

新着記事